EPOS BrainAdapt™テクノロジーに基づくEPOSオーディオソリューションが、2つのタスクをこなす際のパフォーマンスを向上させるとの研究結果を発表

科学的ホワイトペーパー 2023 - 「ノイズ減衰がリスニングの労力、効率、反応時間に与える影響と、デュアルタスクの実行」

人は気づかないうちに、同時に複数のタスクをこなしていることが多いものです。日常生活では、音声を理解すると同時に、視覚的に課題を解決する場面が多くあります。例えば、仕事上では、同僚の話を聞きながら、画面上の情報を確認する必要がある場合があります。家庭でも同様に、誰かが話しているのを聞きながら、同時に他の作業も行いたい場合があります。複数のタスクを同時にこなすことは、よくあることではありますが、難しいことでもありますし、一定のパフォーマンスを維持するためには、1つのタスクを優先させる必要があります。これは、1つ以上のタスクを実行するには、認知能力を使う必要があるためです。

本ホワイトペーパーで紹介する臨床研究*は、音声を理解しながら視覚的なタスクにできるだけ早く反応するという2つのタスクを実行しながら、オーディオ機器におけるノイズ減衰の潜在的な利点を評価したものです。その目的は、騒音減衰が騒音下での音声認識、聞き取り努力、反応時間、正確さ、全体的な認知資源配分にどのような影響を与えるかを、二重課題パラダイムで評価することでした。

この研究は、EPOSがデンマークのオーティコン社の応用聴覚研究センター(CAAR)1において、各騒音条件における瞳孔の追跡、音声認識性能、主観的な聴力評価を中心に実施されました。バックグラウンドノイズが減衰され、バックグラウンドノイズが減衰されていなかったとき、ユーザーはリスニング及び視覚タスクを実行し、この視覚タスクはベースラインとしてのみ使用されました。

この研究の結果、正常な聴覚を持つ参加者が二重課題を行う必要がある場合、ノイズの減衰がいくつかのメリットをもたらすことがわかりました。デュアルタスク中にノイズが減衰すると、音声認識機能は最大 48.2 %のポイントが向上し、視覚的タスクの反応時間は、精度を損なうことなく最大 23.9%(キーを 300 ミリ秒速く押す)向上し、最大 40.6% の効率向上につながりました。さらに、ノイズ減衰を適用すると、主観的なリスニングの努力の評価に反映されるように、知覚されるリスニングの労力が大幅に減少し、平均して無減衰に対して最大 67.5 ポイントまで減少しました。ノイズが減衰されたとき、文章を聞く際の瞳孔散大も有意に減少し、聞き取りやすさが向上しました。認知リソースを解放することで、参加者は視覚的な反応時間のタスクを迅速かつ正確に実行することができました。

この研究は、EPOSが所属するデマントグループが数十年にわたって行ってきた音響心理学研究のほんの一例にすぎません。本調査などで得られた知見は、脳が自然に音を処理することをサポートするEPOS BrainAdapt™ソリューションの継続的な開発に活かされています。


*「デュアルタスクの実行中に、リスニングの労力、効率、反応時間に対するノイズ減衰の影響 」
Federica Bianchi1, Torben Christiansen2
1 Oticon A/S, Smørum, Denmark, 2 EPOS, Ballerup, Denmark